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2009年5月20日 (水)

国外からの加担について、不競法と特許法の比較

リンク: 2009年05月14日のブログ|知財弁護士の本棚.

リンク先は、木村先生のページで、不競法の小出し改正に対する批判です。まったくもっともです。こんなに頻繁に改正がされるのは、妙にお仕事に熱心なお役人がいらっしゃるんでしょうね、多分。

その中で、「平成17年改正で国外犯処罰、退職者処罰の手当がされた。」という話が出ています。現行の不競法の罰則規定21条では、4項・5項に国外犯処罰が規定されていて、「日本国内において管理されていた営業秘密」に関しては、日本国外においての行為も処罰する等が定められています。これは、FM事件最判において、多数説が前提としているところに比して、かなり積極的だと思うのです。

木村先生は、以前にこのエントリーで言及したスピーチの時に、比較的に「自分がかなり保守・守旧派?だということが判明。」とおっしゃるような見解でした。それで、不競法の国外犯処罰の規定に対して、どのようにお考えなのかな、と不思議に思いました(わざわざ言及しているのに、別に批判はしていないし)。それで、質問メッセージをお送りしました。

ご返事によると、次の様にお考えであるとのこと:

| 国外犯について、特許との対比は考えたことがありませんでしたが、外国で成立した特許権を日本国内の行為に適用するという話(あるいはその逆)と、日本企業の保有する営業秘密を国外で開示する行為に日本法を適用するという話は、ちょっと違うように思います。私には、後者の方は、それほど違和感なく受け入れられます。矛盾はしないのかなと。
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| 特許の場合は、日本国内の行為については日本特許でカバーすべきで、日本特許でカバーされない行為は自由、とするのが自然な感じがします(事業の実施に際して、外国の特許まですべて事前チェックする必要があるのでは大変です)。日本企業の保有する営業秘密を国外、たとえば中国で開示する行為の行為者は日本在住の日本人が主として想定されていると思いますので、裁判をするのは日本、そうすると日本法でカバーしないと意味がないのではないでしょうか。

不競法に国外犯処罰規定が必要であることのご説明は、まったくおっしゃるとおりと思います。それで、こちらの法律の用意はよいと思うのですが、それに比べてFM事件最判の多数意見は、なんともヘンだと思うのです。最判多数意見が否定したのは、「外国で成立した特許権を日本国内の行為に適用するという話(あるいはその逆)」といっても、成立国と無関係の行為ではないのです。それへの(orとの)共同不法行為なのです。最判の事案は、米国特許の米国での侵害行為への日本での加担ですが、判旨で前提とされているのは、日本特許の日本での侵害を外から助ける行為を違法とすることの否定です。これはなんとも、日本特許の意義を限定しすぎだと思うのです。

不競法の規定は、日本企業の秘密を国外で開示する行為、を対象とするものです。明示的には、日本とのつながりの要求は、ここだけです。木村先生のご指摘では、「行為者は日本在住の日本人が主として想定されていると思いますので、」とのことで、「日本在住の日本人」とまで言うなら、いかにも処罰対象とするのが自然ですけれど、そう規定されているわけではありません。

実際的には、fm事件最判が否定した、日本での日本特許の侵害への外での加担、に類似したパターンになるのではないでしょうか。つまり、その情報を使って中国で(たとえば)生産して日本向けに売る、ということです。この場合、たとえ日本特許の侵害を来すものであっても、fm事件最判多数意見が、その前提として否定した所によれば、中国での行為については日本法に基づいて違法とは言えません。でも不競法では、元が日本管理の秘密で或る必要がありますが、それが言えます。それどころか、日本向けである必要すらないのです。

なお、不競法の場合、他に、外国であってでも秘密が公開されてしまうと、それは(どこででも、日本ででも)秘密ではなくなってしまうという影響はあり得ます。そこは特徴ではあり得るので、敢えて考えるなら、区別の理由となる可能性もあります。しかし、それにしても、特許の場合の日本向けというのに比べて、区別して扱う程の理由になるとは思えません。現地の(外国の)その地の法律によって違法でなくても、これだけを日本法で違法というのはヘンで、特許についても、fm事件最判の藤井少数意見によるべきものと思うのです。

(5月20日夕方、題名と体裁を少し修正。)

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