米国ITCによる限定的排除命令の範囲|知財弁護士の本棚
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この点についてもまとめていただいたので、少し補足をしておきます。全体について文章を書こうかとは思っているのですが。
ほぼご説明いただいた通りなのですが、状況がわかりにくくなっている理由は、この判決は、従来から ITC が当然のこととしてやっていた(らしい)手続きを否定しているだけであるために、だったらどうしたらいいのか、ということが必ずしもはっきりしない点に、まず理由があります。また、 ITC は従来どういう積もりでそうやっていたのかというのも、どこを見てもよくわからない、という状況にあります。さらに、 ITC 自身にとっても、どうしろと言われているのか、必ずしもはっきりしないために、また加えて、あまり限定されたくはないというのが ITC としての立場だから、素直にいうことを聞いてはいないように見えるのですね。後の事案でもそう見えるものがあります。どうも状況は混沌としています。
少し具体的に説明します。木村先生にまとめていただいたように、明確なのは、この事案のように差し止めをするのはだめだ、ということです。被告の部品(IC)を使ってはいるものの、それを内蔵した別の製品となっている、つまり携帯電話になっているものを輸入するに対しては、その携帯電話の製造や輸入が被告以外の者によるのなら、限定排除命令で差し止めするのはだめだ、と、これは明確です。では、どこまで駄目なのかというと、よくわかりません。
被告自身による輸入だけなのかというと、このケースの後の ITC の命令の実例で、そうではないように言っているものがあるんですね。その命令から見ると、どうやら、作っているのが誰であるかが問題なようなのです。でも、高裁判決からすると、本当にそうか、よく分からないです。どちらかというと、ちょっと違うように見えるのですが。
ITCのそうした近時の命令から見ると、やはり現状でも特許権者にかなり便利な手続きの面があるとは思います。でも、それが今後どうなるのか、まだ流動的という状況なのだと理解しています。
もともとどういうつもりで ITC がこういうケースで、制限排除命令で止めていたのか、という点は、おそらくは、携帯電話としては被告のものではないにしても、その中に、被告の物そのもの(IC)が入っているわけですから、その輸入は、携帯電話の輸入であると共に被告のICの輸入でもあるわけで、それを制限排除命令でも差し止めできる、という理屈だったのだと思うのです。わざわざ説明してくれてはいないので、 ITC の真意はわからないんですけど。
高裁判決は、そういう形での取り扱いもおかしいとしたのだと思われますが、分解して説明してくれてはいないので、どこまでなのか疑問が残ります。どうも腑に落ちない面が残っているように思います。
そして、今後は、一般排除命令の要件が問題となる事案が増えそうに思いますが、それをどういう程度で認めるのか、という話は、さらに不明なところが残ります。また同時に、一般排除命令を求める手続き、それをどういうタイミングでだったら求めることができるか、とか、いろいろと問題はありそうに思います。
とにかく、従前やってたのではだめだと言った高裁判決ですので、それへの対応はなかなか定着するのは難しい、というか、混乱が残るものなのではないかと、そんなふうに見えます。
(2月16日、ちょっと修正)
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